【感想・考察】映画「正欲」。性的嗜好と性的指向の違いとは。多様性を考えさせられる作品〈レビュー〉

エッセイ
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こんな人におすすめ

・社会の普通と自分の欲望のズレを感じる

本当の多様性は何か考えたい

・深い映画が見たい

さかす
さかす

多様性の難しさについて考えさせられる深い映画でした。

Netflixで観た、映画「正欲」の感想や考察を述べていきたいと思います。

ネタバレが嫌な方は、これより下は見ないでください!!

印象に残った言葉

新垣結衣さんが演じる桐生夏月が最後のシーンで放ったセリフ

あなたが信じなくても、私たちはここにいます。

この言葉に、とても重みを感じました。

「あなたが信じなくても」の「あなた」は、このシーンでは、稲垣吾郎さんが演じる刑事の寺井啓喜に向けて言っています。

ですが、映画を通して、この言葉は、もっと広い社会に向けて放たれているように感じるのです。

さかす
さかす

自分の欲望が、社会の普通とは違うことを自覚しているからこそ、出てくる言葉だと思います。

力強い言葉に感じました。

性的嗜好と性的指向

私もこの映画を見てから調べてみて、初めて知った概念ですが、ぜひ多くの人にも知って欲しいと思ったので書きたいと思います。

性的指向は、LGBTの「L(レズビアン)」、「G(ゲイ)」、「B(バイセクシュアル)」のような、どのような性を、恋愛や性愛の対象にするか、ということです。

その多くは、先天的なものです。

性的嗜好は、どのようなものに性的な興奮を感じるか、その好みについてです。

その多くが、後天的に、文化の影響なども含めて作られるものです。

こうやって整理すると、映画「正欲」で扱われているのは、

水に対して性的興奮を覚える人たちのため、主に性的嗜好の方であることがわかります。

性的嗜好の多様性の難しさ

時代が変わり、LGBTQ+などの概念も広がり、性的指向(性自認も含め)の多様性が、認められるようになってきました。

以前は、病気であるとされた同性愛なども、現代は、一つの性のあり方であるとされています。

しかし、性的嗜好に関しては、その一部が、パラフィリア症群という精神疾患として診断されます。

本作でも出てきましたが、小児性愛などがその一例です。

ここは非常に難しいテーマだと思います。

(自分もそこまで詳しく知っているわけでも、当事者とそのテーマを話したことがあるわけではないので、誤解や誰かを傷つけてしまうかもしれないことを自覚して話を続けます。)

そのような性的嗜好の一部には、常識的な性的嗜好から逸脱して社会的な問題をもたらすものや、社会的な搾取の構造が含まれてしまうのはたしかです。

なので、そのような性的嗜好は、現在は、精神疾患とされています。

性的嗜好を生み出す要因などには、環境や文化、神経的な個性?など、さまざまなものがあると思いますが、私には全然わかりません。(詳しい方いたら教えて欲しいです)

また、逸脱した性的嗜好が、精神疾患であるとされる社会が覆るかはわかりませんし、

しばらくは、精神疾患としてみなされ、法律の中で罰せられるものであると予想します

本作では、水に対して性的嗜好をもつ人たちが出会っていきますが、そのうちの一人が、小児愛でもあったために、他の人にも疑いがかけられています。

普通ではない性的嗜好をもっていたから、という理由で疑われているのです。

これは、なんとも複雑な状況ですし、どこか理不尽でもあるように感じられます。

ここに、性的嗜好の多様性の難しさがあると感じました。

性的嗜好は、趣味のようなものでもあり、その嗜好の種類は膨大だと思われます。

その全てを理解するのは難しいだろうし、想像するのも難しいです

そして、社会の中では、一部は犯罪に含まれるものもあるため、偏見が生まれやすいのも事実としてあるなと思います。

映画のテーマに合わせて、性的嗜好をテーマに書きましたが、これは、性的なものに関わらずとも、

人の趣味趣向、関心など、

また、人の性質、性格などについても、

多様性の難しさは似たことが言えるかなと思いました。

「正欲」というタイトルについて

正しい欲、です。

さかす
さかす

私は、とても皮肉のニュアンスを感じました。

正しい欲とは、なんでしょうか。

間違った欲があるのでしょうか?

たしかに、性的嗜好の一部は、犯罪としてみなされる、間違った欲かもしれません。

ですが、正しい欲があるかどうかに答えられる人はいないのではないでしょうか。

水に対して性的な興奮を感じる登場人物たちが、社会に対して

正しい欲とはなんでしょうか?」と問いかけているように感じます。

まとめ

映画「正欲」の感想や考察をまとめてみました!

さかす
さかす

非常にデリケートなテーマであると思いますが、それをテーマとした映画を作ってくれたおかげで、私も考えるきっかけになりました。

映画を通して、性的嗜好や、多様性について考えさせられ、

現代の社会では、多様性の網目を抜けていってしまう人の特徴もあるなと感じさせられます。

揺れ動かされながらも、現実をちゃんと見たいものです。

このようなテーマは、なかなか、人に話しづらいテーマでもあると思います。

ぜひ、本作を通して、自分の中で振り返り、考えてみて欲しいです。

さかす
さかす

このブログでは、他にも、いろんな多様性について考えていきたい思ってます!

ぜひ見ていってください!

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