【本】人はなぜ悲しみ、精神を病むのかを解説「メンタル脳」〈要約・感想〉

おすすめの本
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こんな人におすすめ

不安や孤独感に悩んでいる人

・辛い過去の記憶、トラウマがある人

・人に会いたくなく、引きこもり気味の人

メンタルの不調や不眠で悩んでいる10代や学生の人

繊細な感覚により、不安や恐怖を感じやすい人

感情がうまれるメカニズムを知りたい人

自分のメンタルの仕組みについて知り、幸せになりたい

さかす
さかす

人からの言葉に傷ついたり、
人前に立って話すのが怖かったり、
急にやる気やモチベがなくなったりするのは、

自分に原因があるというより、
ヒトの脳とメンタルがもともと、
そういう仕組みになっているからかもしれない

そんなことを教えてくれる、自分のことを大切に思わせてくれる本でした。

本について

【参考文献】
Anders Hansen, 『メンタル脳』, 新潮社, 2024, 206p

著者 アンデシュ・ハンセン

著者のアンデシュ・ハンセンさんは、スウェーデンの精神科医です。

2020年に発売された『スマホ脳』を代表として、
世界的なベストセラーとなった『スマホ脳』『最強脳』『ストレス脳』『運動脳』『メンタル脳』
などの著者がアンデシュさんです。

アンデシュさんの書籍を本屋やSNSで見たことがある、
読んだことがある
、という人も多いのではないでしょうか。

読みやすく、10代にも向けて

本書は、科学的に語られていますが、
内容は難しくなく、すらすらと読みやすい本になっています。

本書のはじめに、著者アンデシュさんからのメッセージの中に、

本書は『ストレス脳』の内容を、より分かりやすく、
ティーンエイジャー版として書き上げた。
自分が10代の頃に読みたかった本である
。(要約済み)

と書いてあります。

ここからもわかる通り、10代の人も読みやすい内容で、
例えや具体例も多くわかりやすい本になっています。

文庫版として発売されていて、価格は高すぎず、
また、ページ数も206ページと手軽に読めるようになってます。

本記事では、アンデシュさんの著書の中の一冊『メンタル脳』を扱いますが、
内容は、他の書籍にも通ずるところがあります

なので、まず、どれか気になるのを一冊読んでみるのはアリだと思います
そして、本書は、その入門となりえる、読みやすい書籍であると言えます

本の内容

①脳は「生き延びらせること」が最優先

普段、幸せとは何かを考えた時に、
いつも楽しく、快適に暮らせること」
「欲しいものが手に入ること」
ずっと心地よい気分でいること」

と考える人も多いのではないでしょうか。

さかす
さかす

私も、親しい人と楽しく話している時や遊んでいる時に、
ずっとこの時間が続けばよいのによいのにな」と思うことがあります。

ですが、本書では、それは不可能であると言っています。
その理由は、

私たちの身体や脳は生き延びて子孫を残すために進化したのです。
気分良く暮らすためではありません
。(p29)

つまり、どのような感情や、それによる行動も、
私たち人間をどうにか生き延びらせるようにプログラムされている、ということです。

それは、生物的に、生き延びるのに適したプログラムをもつ
遺伝子の要素が残っていったからです。

私もあなたも、誰でも、このようなプログラムを持っています。
全員が同じ遺伝子を持っているわけではないです
それゆえ、性格、体格、さまざまな違いが生まれます。)

②感情や不安、トラウマがある理由

何かをやる気に、挑戦する気になったり、
急にやる気がなくなり、自信が無くなったりすること、
誰にでもあると思います。

これも、脳みそが、
私たちを生き延びらせようとするためである
と本書には書いてあります。

それを、木の実を取ろうとする人、エヴァを例に出して説明しています。

木に登るかどうかを決めるのはエヴァのです。(中略)
得られるものが大きく、危険は小さいと脳が判断すれば、エヴァは勇気がわいてきて「自分は強い」と感じるでしょう。逆に危険の方が大きいと判断すると恐怖がわき、「自分なんてちっぽけで弱い存在だ」と感じます。(p40)

これが、感情が生まれる理由なのです。

それでは、不安については、どうでしょうか。

不安も同じで、不安を感じさせることによって、
その人を危険な状況から避けるようにさせます
それが、極端になると、パニック障害となってしまいます。

しかし、不安は、扁桃体という脳の部位(「脳の警報センター」)が危険かもしれない情報(実際には危険ではなくても)全てに反応するため、それが実際に危険かどうかはわからないのです。

なので、強い不安を感じる時は、
このようなメカニズムがあることを理解しておき
扁桃体が誤作動をしているだけかも(p65)」と思うことで、少しは和らぐかもしれないです。

「記憶」についても同じで、
確実なデータとして残っていると言うよりも、
脳みそが大事だと思うものが記憶として
残っていて、それが強烈なものだと、
トラウマという形で残ることもあるのです。

トラウマやPTSDになってしまっても、
安心できる状況で、少しずつその記憶を呼び起こし、
思い出したり、話したりすることで、和らいでいくことがあります。

③運動がメンタルを良くする

運動が、不安を軽減し、
うつになるリスクを減らし、
メンタルを強くすることが書かれています。

これについては、本書から学べること、でも述べたいと思います。

④SNSの使いすぎと孤独感

このトピックは、現代を生きる私たち、特に若い世代に
とてつもなく重要なトピックだと思われます。

なぜ、SNSと孤独感が関係しているのかについて述べる前に、
人類の歴史についてこう述べています。

人類の歴史のほとんどずっと、「他の人と連帯すること」が危険だらけの世界で生きのびるために欠かせないことでした。(p139)

歴史上、群れから追い出されることは確実に死を意味しました。(p145)

そして、SNSを見ているときの私たちの
脳みそもこのような世界に生きていると思っています

なので、
「この人たちと同じように、私もなれているかな」
「この人よりも劣っていないかな」
と考えるようになっています。

これが、SNSが孤独感を生み、
メンタルを悪くさせる可能性のあるメカニズムです。

⑤遺伝子が全てではない

自分の脳みそとメンタルのメカニズムを知ること、
そして運動や睡眠などの生活習慣を整えること

これによって、メンタルについて、変えられることはある
、と述べられています。

⑥幸せを追い求めてはいけない

期待をしすぎると、大体はそれを下回ってしまう。

なので、
何事にも期待はしすぎず、あることに感謝できる態度が、
幸せを実感する良い方法
かもしれない、
と述べてあります。

本書から学べること

自分の繊細さも脳みその命令

私は、自分の繊細さや感受性、感覚が過敏であることに
コンプレックスを感じることがありました。

はじめのコメントでも少し書きましたが、
人からの言葉に傷つきやすかったり、
他人の視線を気にしやすかったり、
将来の不安を感じやすかったり、

などなど、ネガティブな面も多いように感じていました。

しかし、おそらくこれらの性質も、
脳みそが私を生き延びらせるためにそう命令しているだけなのかもしれない
そう思いました。

その命令や、知覚のメカニズム、また、扁桃体の機能などが
たまたま、他人と少し違い、他人よりも強く働いているかもしれないだけなのかな、
と捉え直すことができるようになりました。

本書にも、少しではありますが、HSPについて書かれている部分がありました。
「HSPは、心が豊かであるということ」「病気ではなく、性格的な傾向」(p45)
と表現されていました。

これらの内容のおかげもあって、改めて、
ポジティブな面も含めて、繊細さ、HSPを捉えられるようになりました。

HSPについては、詳しくは別の記事にも書きましたので、
自分もそうかもな、と感じる方はぜひ読んでみて欲しいです。
私自身の意見、気づきも載せてあります。

こちらの記事 “最近よく聞く「HSP」とは何か?病気ではない?”

多くの行動の理由が明らかに!

本書を読んだ後に、さまざな人の行動の理由を振り返ってみました。
そうすると、どれも、人が生き延びるための、
脳の仕組みによるものなのかな
と気づくことができました。

この気づきは、
変に、その行動についてネガティブに捉えることを防いだり、
そこから生まれるすれ違いを減らせるような気がしました

例えば、

・自分のことを否定されるととても傷つき不安に感じる
・悪口を言われていないかをとても気にする
・人をいじめる。いじめを傍観する。
自分が集団から外されると命に関わるため心配したり、力を誇示する

・汚いもの(汚そうなもの)に対する五感による嫌悪感
安全や衛生的であることは命に関わるため嫌悪を感じる

・暗いところが怖い、夜の裏道や茂みなどが怖くなる。でも人がいれば安心。
動物など、何が現れるかわからず、身の危険を守るため。

・人を見た目で判断する
自分に危害があるかどうかの安全を確認したり
 子孫を残す可能性の高いパートナーを選別するためなど

などなど。

私の勝手な考察もあるので、科学的に正しいかはわからないですが、
人間の心理、感情、行動の多くは、
このように、人間の命に大きく関わることが要因となり、

防衛機能、防衛本能が働いているのではないでしょうか。

本書には、
妊婦のつわりや吐き気、うつっぽさは、
病気にかかると母子ともに命の危険があるため、
その人の脳がそうさせる、という例が載っています。

どの例も、意思によるもの、というよりは、
ほぼ自動的にそうなっている、と捉える方が合っているのかなと思いました。

先にも述べましたが、そう捉えられれば、
なんであの人はこんな反応をしたのだろう?
なんで私はこう感じてしまっているのだろう…。
というような違いを生む原因を減らせると思っています。

さかす
さかす

私は、小さい頃、大人にいたずらして驚かせた時に、
その人が怒ったりすることがあって、
そんなに怒らなくても、、、と思ったことがあったのですが(笑)

それも、もしかしたら、その人が身の危機を感じたから、
反射的に、防衛本能として怒るような態度をとってしまったのかな
と気づきました(汗

本書のメリット

現代を生きる人は、誰もが読むべき本です。

そう思わせてくれるほど、現代を生きる私たちのメンタルに関する悩みを、
事細かに、でも分かりやすく解説している本になっていました。

さかす
さかす

本書を読んだ後、せめて週に一回は、運動をしたり、
運動と難しく考えずとも、
ちょっと散歩をしたり、階段を上り下りするようにしたり、
体を動かすことを意識して生きていこうと思いました。

それこそが、自分のメンタルを整えることにつながると確信を持てました。

メカニズムを論理的に知り、それを踏まえて、合理的な対策をする。
できることはやって、できないことは仕方ないと知る。

これは、私の価値観にも、とっても当てはまる方法だと感じました。

また、それぞれの章の終わりに、章のまとめが載っているといった
読みやすさ
もある本になっています。

まとめ

アンデシュ・ハンセンさんの『メンタル脳』を紹介しました。

脳みそは、あなたが生き延びれるように、
あなたに世界を見せています

そのメカニズムを理解していき、
メンタルを少しでも整えることが、
幸せを実感することにつながると感じます。

メンタルの不調を少しでも抱え、悩んでいる人、
(そして、それはおそらく現代を生きるほぼすべての人(笑)
には、読むことをオススメしたいです。

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