こんな人におすすめ
・「将来何になるの?」という質問に戸惑ったことのある人
・次から次に興味が移り変わっていく人
・進路やキャリアを一つに絞れない人
・自分に合った生き方を知りたい人
・タスクを効率的にこなしたい人
・HSS型HSPの人
なぜ「一つにしぼれ」の世の中なのだろうか。
「多芸に無芸」じゃない!
「多芸に多々芸」だ!!!!と思わせてくれる本でした(笑)
本について
【参考文献】
Emilie Wapnick, 『マルチ・ポテンシャライト 好きなことを次々と仕事にして、一生食っていく方法』, 株式会社PHP研究所, 長澤あかね(訳), 2018, 286p
マルチ・ポテンシャライトとは
⚫︎Multipotentialite
「マルチ(多くの)」+「ポテンシャル(潜在能力をもつ)+「アイト(人)」を組み合わせた造語。
「さまざなことに興味を持ち、多くのことをクリエイティブに探究する人」(p29)という意味である。
なんだ、このワクワクする言葉は!!
めっちゃ自分の気持ちを代弁してくれてる気がする!!
著者 エミリー・ワプニック
著者のエミリー・ワプニックさんは、
講演家、キャリア・コーチ、
ブロガー、コミュニティリーダーという
様々な肩書き(これぞマルチポテンシャライト!)
があり、あのTEDでもスピーチをしています。
音楽、アート、映画制作、法律
(これぞマルチポテンシャライト!笑)
を学び、2011年にカナダのマギル大学法学部を卒業。
TEDトークには、2015年に、「天職が見つからない人がいるのはどうしてでしょう?」という題で出演していますが、題からも分かる通り、「マルチポテンシャライト」をテーマにしています。
検索すればこのスピーチの動画が見られるので、ぜひそちらも見てみてください。
(本書の前半部分を簡潔にまとめたような内容です。)
本の内容
①マルチポテンシャライトとは
次々と新しいことをするタイプか、同時にするタイプか、その間か。
現代を生きるマルチポテンシャライトの課題(仕事、生産性、自尊心)
②マルチポテンシャライトの才能5選
既存の分野に縛られず、新たなカテゴリーを生み出してもいい
「アイデアを統合できる」(p46)、「適応能力が高い」(p52)、など
③マルチポテンシャライトの人生の秘訣
「お金」、「意義」、「多様性」が得られているか
それらがどれほど必要か、そのバランス
④マルチポテンシャライトの4つの働き方
「グループハグ・アプローチ」(p98-)
「一つの多面的な仕事またはビジネスに携わることで、職場で多くの役割を担い、いくつもの分野を行き来する」
「スラッシュ・アプローチ」(p129-)
「パートタイムの仕事やビジネスをいくつか掛け持ちし、その間を日常的に飛び回っている」
「アインシュタイン・アプローチ」(p154-)
「生活を支えるのに十分な収入を生み出し、ほかの情熱を追求する時間とエネルギーも残してくれる、フルタイムの仕事かビジネスに携わる」
「フェニックス・アプローチ」(p175-)
「ある業界で数ヶ月、もしくは数年働いたあと、方向転換して、新たな業界で新たなキャリアをスタートさせる」
それぞれのアプローチを図にしてみました!(自信作、笑)
色のついた⚫︎が、それぞれの仕事やビジネス、興味などを表しています。
黒い⚪︎は本業、フルタイムの仕事(安定したお金になる仕事)などを表しています。
興味の多さや、
興味が移り変わるタイプ
(同時か、順次か)、
収入の安定さを求めるかどうかなど、
その人のタイプによって、最適なのを選んでいくのがよい。
また、一つに選ばなくても、
これらを時期によって変えても、組み合わせてみても良い。
私は、今は学生でアルバイトをしながらなので、スラッシュ的ですが、
ある程度安定した収入も欲しいため、少しずつ、グループハグかアインシュタイン的なアプローチで生きていけるよう模索しています。
やりたいことで収入が得られるようになっていったらまた変わるかもしれないです。やりたいことも変わっていくのでなんとも言えないですが、あはは(汗)
⑤自分に合う、生産的な習慣のつくり方
優先順位をつけていく方法
取り組んでいることのやめ時を見極める方法、など
⑥マルチポテンシャライトが抱く不安への処方箋
「アイデンティティへの不安」(p246)
「『一流になれない』という不安」(p252)
⑦おわりに
著者が学生時代の、マルチポテンシャライトであることをポジティブに捉えることができるようになった実体験、など
本書から学べること
新しいことを始めまくっても良い
というか、むしろ、
始めたいなら新しいことを始めた方がより良いということです。
現代は、一流の人、プロフェッショナル、
一つの分野を極めた人が重宝されたり、
もてはやされる時代であります。
その分野への造詣が深いことがすぐ分かるし、
誰に頼れば良いか分かりやすいからです。
この事実が大きく変わることはないでしょう。
しかし、さまざまな分野をまたいだ経験がある人だからこそ、できること、生まれるアイデアがあるという事実に気づかせてくれました。
私も、興味の幅が広すぎることに悩んでいたこともあったけど、
例えば、心理学と教育、音楽と言葉、生物と社会とか、
ちょっと違う分野でも、繋がることはあるし、むしろ現実の社会問題ってそういう様々な分野が複雑に絡まってるよな!!と思い始め、いろいろ手出すのもGOOD!と思うようにしています。
また、最近、日本の大学でも増えてきた、
主にアメリカで主流な「リベラルアーツ」
という学びのあり方も、
様々な学問を横断的に、
広い意味での教養を手にいれるという面で、
マルチポテンシャライト的であると言えると思いました。
小さく始める
マルチポテンシャライトに限らずですが、
やるべきタスクがやる気にならないことありますよね。
また、特にマルチポテンシャライトは、
新たなことに足を踏み入れたものの、
まったく上手くできず、
やる気がなくなってしまうこともあります。
いつだって、新たな分野の初心者なのです。
本書には、それに対する、
タイムマネジメントについてや、
マインドセットについて様々な方法が載っています。
例えば、「ささやかな成功を記録する」
「短めに、頻繁に取り組む」(p250)などです。
できるようになったことがあれば、
それが小さなことでもモチベーションに繋がるし、短く取り組めば、取り組むハードルも下がります。
「今日、何もできなかった…」ではなく、「今日は、5分も本を読めた!」
そんな日があっても良いのだと思えました。これも、大切な一歩ですよね。
私が多くのことを学ばせてもらっている、
自己理解の八木仁平さんのYoutubeの動画でも、
八木さんは「目の前の小さなドミノを倒していくことが、いつか大きなドミノを倒すことに繋がる!」と語っています。
急に大きなドミノを倒そうとしても難しいです。(やりたいことだけで安定してお金を稼ぐ!など)
そんなときは、目の前にある、できそうなタスクに一個取り組んでみる。
本書の内容にも、通ずることだと思いました。
本書のメリット
本章で、4つの働き方が提案されていて、
それにまつわる詳しい説明や、実際の人物の例が多数取り上げられています。
例えば、
・幅広い分野を一人の先生が担当する学校の先生になることで、多様性を確保するグループハグ・アプローチを実践している人。
・すぐにはお金になりにくいアーティストたちは、スラッシュアプローチが向いているかもしれないということ。
・名前の由来になっているアインシュタインは、スイスの特許庁の職員として安定して働きながら、特殊相対性理論などの研究をしていた。
・連続起業家というフェニックス・アプローチの権化のような生き方がある。
これらの情報は、
自分に合った生き方、働き方を妄想し、実現していく手助けに確実になると思います。
また、本書は、それぞれの章ごとに、キーポイント(まとめ)が書かれていて、とても読みやすく、しっかりと内容がまとまっている本になっています。
まとめ
エミリー・ワプニックさんの『マルチ・ポテンシャライト 好きなことを次々と仕事にして、一生食っていく方法』を紹介しました。
何にでも、新たな分野に興味が湧いてくるあなた、マルチポテンシャライトかもしれません。
そんなあなたは、
いろんなことに手を出すことを肯定しながらも、
それらに上手くペースを配分する必要があります。
そんなコツが乗ってる本です。
興味のある分野が多くある方、好奇心が強い方、
それこそ、HSS(刺激追求性)の気質がある人、
HSS型HSP(HSE)の人などにはオススメの本です!!
ぜひ自分の生き方を模索するための一冊にしてください。